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ゴジラ対ヘドラ 怪獣から見る社会の過去と今

おはようこんにちはさようなら。

シン・ヘドラです。

今回のテーマは、私のアカウント名でも使わせてもらっている「ヘドラ」についてです。

理由はシンプルに一番好きな怪獣なのでこの名前をつけました笑




まずヘドラについてざっくり解説すると、1971年公開の映画「ゴジラ対ヘドラ」に登場する怪獣です。ちょうど今年で50周年です。おめでとうヘドラ!


「ゴジラ対ヘドラ」 | 予告編 | ゴジラシリーズ 第11作目



公開された1970年代当時、大きな社会問題だった「公害」をテーマにした作品でした。

この頃のゴジラ映画は「かなり明るい子供向け路線」の物がメインでしたが、この作品では「グロテスク」さや、「環境破壊への怒り」が強調され、シリーズの中でもかなりの異色作となりました。

(他にもゴジラシリーズではなかなか見られない描写が目立ち、賛否両論を呼んだ)



数あるゴジラシリーズの中でも、私はこの「ゴジラ対ヘドラ」が一番お気に入りです。

キャラクター性とテーマの絡み具合、ヘドラの造形が、あまりにも見事だなと思います。

そして現代にも通づる描写がある驚き。


そんなわけで、今回は自分の思う「ヘドラ」の魅力について語りたいと思います。



 

①そもそも公害とは?



まずこの映画のテーマになっている「公害」について触れたいと思います。

公害の定義はこのようになっています。



「総務省 環境基本法」より抜粋


第2条第3項

「この法律において「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。第二十一条第一項第一号において同じ。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。以下同じ。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。」



要するに、人間が生活したり、会社が事業活動する時に発生した化学系廃棄物などで、人体や動物の健康、植物の発育、その環境そのものが汚染されることの名称です。


日本では「経済経済成長期」と呼ばれる1960年代から1970年代にかけて大きく問題視されました。

特に70年代には、四日市ぜんそく光化学スモッグ田子の浦港ヘドロ事件 などの数々の公害が発生しました。


そんな中誕生したのがヘドラでした。



 

②ヘドラの成長と行動による公害描写


「ゴジラ対ヘドラ」ではヘドラの成長過程と、その脅威が徐々に大きくなる様子で、公害の恐ろしさを視覚的に表現していました。


・第一形態(幼体)

ヘドロだらけの海からオタマジャクシ状の生き物を発見。

この時はまだ数cm程度で、毒性も弱い。

乾燥(火)が弱点だが、水分があれば復活してしまう。複数個体存在する。


・第二形態(水中棲息期)

幼体が複数合体した姿。縦に開いた真っ赤な目が出現。

まだ数十cmだが、毒性が強くなり、人間が触れると皮膚がただれる

こちらも複数存在する。合体していく。


・第三形態(水中棲息期)

30m程になり、タンカーを襲って石油を奪ったり、夜中になると工場の煙を吸うために上陸する。

さらに毒性が強くなり、人間がヘドラの体から放たれるヘドロを浴びると死亡する

ゴジラと初対決する。まだゴジラに敵わず撤退。(ちょっと見た目可愛い)


・飛行形態

なんと空を飛べるようになる。なんでやねん。

「硫酸ミスト」という毒ガスを撒き散らしながら飛行し、まともに浴びると人間が白骨化する。(!?)

距離が離れていても目や喉が痛くなる。(死傷者を1000万人出したらしい…)

人々はマスクをつけたり、外出を控えるようになる。


・完全体(下画像)

60mになりゴジラよりも巨大に。対抗した人間たちが松明を投げるがまったく効かない。

ゴジラが出現し対決。毒性は最強になり、ミサイルも効かないゴジラの皮膚をただれさせる。右腕に関しては白骨化させる。怖すぎる。






 


③現代に繋がったヘドラのキャラクター性



最初は無害だったのにだんだん凶悪性を増していくヘドラ。

流石に白骨化はありませんが、目まい・喉の痛み・吐き気・皮膚のただれ・喘息などなど、人体に重大な健康被害を出したのは事実です。

まさに社会問題を「怪獣」という形に落とし込んだ存在なのです。



実はヘドラとの対決に現れたゴジラも最初は「核実験の脅威」という社会問題をテーマに生み出された怪獣でした。



巨体で暴れ、足でビルを踏み潰し、口から吐く白熱光で東京を蹂躙する姿は、誰もが一目見ればわかる「核の脅威」であり、「戦争の記憶」でした。

(ゴジラ対ヘドラのゴジラは人類を攻撃はしないものの、人類の環境破壊に対する怒りを露わにしている。)



しかしヘドラの恐ろしいところは、「最初は大したことがなかった」というところです。

現れた時は数cmと小さくて無害だったのに、気付けば60mという巨体に成長し、人間どころかゴジラまで白骨化させるヘドラ。


大したことがないと思って放っていたら、気付いた頃には大きな脅威になっていた…。

人々はマスクをつけ、外出を控えるようになる…。


まるでコロナウイルスと共通しているのではないかと思います。

コロナウイルスも最初は一部での出来事だったのに、徐々に感染を拡大し、重症者や死者を多数出し、世界中の人間の生活そのものを変えてしまいました。


ちょうど今年でゴジラ対ヘドラ公開から50周年記念ですが、まさか50年前の映画で描かれていた光景が、50年後の未来でこんな形で実現してしまうとは…。


しかも怪獣よりはるかに小さいウイルスによって。現実は物語より奇なり…。


 

④怪獣というか妖怪?ヘドラの造形(可愛い)



なんか重くなってしまったので、最後はヘドラの独特な造形について書きます。

ヘドラのデザインモチーフはその名の通り、公害の代表格である「ヘドロ」や、「光化学スモッグの煙」です。


初代ゴジラの最初のデザインモチーフが「キノコ雲」だったんですが、それ以上に「普通の生物ではない」感じが出てますよね。


そして何より、あの縦に開いた赤い目。もはやあれだけでヘドラってわかりますよね。

(イメージは女性器らしい。攻めてるな…。)


あと最初から思ってたんですが、ヘドラのデザインって怪獣というより、妖怪みたいじゃないですか?手がダランとしてるとことか幽霊っぽいし。なんとなくちょっとバックベアード思い出すし。「ゲゲゲの鬼太郎」に出てきても違和感ない笑


あと最後に一つ言いたい。ちょっと可愛くない?(特に予告編の25秒の時の姿とか)

なんか気持ち悪いし怖いはずなのに可愛い。

目がぱっちりしててモニュモニュしてんの普通にゆるキャラでは…(末期)



うん。可愛い。


今回はこの辺にしておきます笑 あと、ゴジラシリーズ最新作「コングVSゴジラ」の予告公開されましたね!楽しみ!



最後にヘドラのイラスト描きました!最後まで読んで頂きありがとうございました!




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